建築業界の転職を検討している人にとって、セラミック塗装の仕事に興味を持っている人も少なくありません。ただ、セラミック塗装のイメージは「塗装ってなんだか難しそう」「現場作業で大変」といったネガティブな印象になりがちです。
そこで、この記事ではセラミック塗装の仕事内容や給与、やりがいなどについて紹介します。
セラミック塗装とは
セラミック塗装は屋根、外壁などに使われることが多い塗装です。塗装する際にはセラミック塗料を使いますが、遮熱、断熱に優れていて、デザイン性も良いというのが特徴になっています。
ちなみに、セラミック塗料は、シリコン塗料やウレタン塗料、セラミックの粒子や粉末、セラミックビーズが添加されている製品の総称です。
ただし、セラミック塗料には明確な定義がなく、少しでもセラミックが混ざっていればセラミック塗料と呼ばれています。
セラミック塗装の仕事内容
セラミック塗装の仕事は現場作業が中心ですが、大きく分けて3つに分けることができます。会社によって兼任することもありますが、基本的には以下の3つです。
・現場作業
・提案、営業
・事務作業
それぞれの特徴をみていきましょう。
現場作業
現場作業としては塗装や、塗装の補助などが主な仕事です。依頼された現場へ直接出向いて作業をしますが、お客様のご意向次第では、当初予定していた内容が変更になることもあります。
これは実際に作業を進めていく中で、お客様側から「もっとこうしたい」「色彩を統一したい」「申し込みのあと家族と相談して、ここも追加したい」などの追加・変更依頼を考えるからです。
営業担当との話し合いではそこまで気にならなかった箇所も、作業を立ち会っていると急にその箇所が気になるかもしれません。また、今回の作業の出来栄えを見てから次回も検討しようと考えている人も、「やっぱり今回のついでに頼んでおこう」と追加依頼をすることは心理的に珍しいことではないでしょう。
このように現場作業では、作業内容を変更できるなどの臨機応変の対応が必要です。無事に作業を終えた時には、直接感謝やお礼のお言葉を頂けるポジションですので、モチベーションも上がりやすくなります。
提案、営業
個人のお客様、企業などを対象にセラミック塗装の提案、営業を行うのがメインです。また、既存のお客様へのアフターフォローなども担当します。他には、宣伝のためのチラシ、ポスター作成なども場合によってはやることがあります。
最初にお客様と関わることが多いので、現場作業をする職人さんとお客様をつなぐためにも重要なポジションといえます。
事務作業
工場でも一般の会社と同じように管理部や総務部があります。工場の経理、電話問い合わせなどを担当します。現場作業や営業などと比べると裏方作業が中心ですが、縁の下の力持ちのポジションです。
また、お客様だけやり取りするのではなく、現場作業の職人さんと打ち合わせをしたりすることもあります。
代表的な例として3つご紹介しましたが、勤めたい会社に直接問い合わせて確認することが大切です。
セラミック塗装の工法について
セラミック塗装のやり方は会社によって異なりますが、代表的な工法についても簡単にご紹介します。現場作業をしたいと考えている方は参考にしてみてください。
代表的な工法は以下の2つです。
・ローラー工法
・吹き付け工法
それぞれの違いをみていきましょう。
ローラー工法
ローラー工法は手作業が中心の作業です。よく見かける作業といえますので、一般の方でも馴染みのある作業方法といえるでしょう。手作業となるので時間はかかりますが、外壁や屋根の種類に応じてローラーを使い分けるのが特徴で、耐久性を高く保つことができます。
作業時間はかかるものの状況によって使い分けが可能で、さまざまな外壁に対応することが可能です。
吹き付け工法
吹き付け工法では、スプレーガンを使って塗料を吹き付け塗装します。広い面積の外壁を塗装する際に使われます。塗料を吹き付けるため、塗装したい部分以外にかかってしまうことがあるので注意が必要といえます。機械を使って作業をするのでローラー工法よりも時間を短縮できるのが特徴です。
セラミック塗装のやりがい
セラミック塗装のやりがいは、お客様から感謝の言葉を頂けることです。
建物はマイホーム、会社のオフィスなど、何かの意図を持って建てられるものがほとんどです。意図は人によって異なりますが、期待や希望など前向きの感情を持って依頼されることが多く、ミスや失敗は許されません。
そのような思惑を持って建てられた物を扱うため、一緒に作業する人やお客様からは厳しい目線で確認されます。甘えが許されないため、体力、精神的に疲れることもあります。
しかも、屋外作業が多いので夏は暑く、冬は寒いといった厳しい環境で働かなければなりません。
しかしながら、このような厳しい環境で一生懸命仕事をこなし、無事に作業を終えることができたら2つの達成感を味わえます。1つ目は、「自分が関わった仕事が目に見える形で残ること」で、もう1つは「直接感謝してもらえる」ことです。
作業を終えると褒められて感謝されることが多い仕事なので、やりがいを感じられる職種といえるでしょう。
セラミック塗装をやるのに向いている人
セラミック塗装は現場で作業する場合に高所で作業することもみられます。そのため、はしごを使って屋根や足場を上り下りすることも多々あります。さらに、外で作業することもあるので夏場、冬場などいろいろな環境で仕事をしなければいけません。
そのため、セラミック塗装をやるのに向いている人として挙げるのは以下の3つです。
・体力がある
・忍耐力がある
・感謝される仕事がしたい人
体力がある
セラミック塗装では、現場作業がメインです。現場では、さまざまな環境で作業しなければいけません。また、1日で複数の現場を担当することもあるので体力を要求されます。ただ、体力と言ってもいろいろな動きを求められることが多いです。
日頃から運動をしている方はもちろん、体力に自信がある方は重宝されるでしょう。また、基本的に立ち仕事ですので、足腰にも負担がかかり気味になります。腰痛持ちの方には少し辛い姿勢が続くともいえます。
夏の暑さや冬の寒さがとても厳しい場合、すぐに休憩したがる人もいるでしょう。ただ、塗料は時間を空けて塗るとムラができやすい工程もあるので注意が必要です。
体力に自信があって長時間の立ち仕事もOKな人は向いているといえます。
忍耐力がある
セラミック塗装では、お客様や職人さんなどのこだわりを持っている人とコミュニケーションを取ることが多くみられます。そのため、時には意見の食い違いが起きることもあります。こだわりを持っているからこそ食い違いが生まれるのですが、仕事への妥協は許されません。
簡単に解決しないこともありまが、より一層コミュニケーションを図り、粘り強く仕事に取り組む姿勢が必要です。我慢強い人や辛抱強く物事を考えられる人はセラミック塗装にも向いているでしょう。
感謝される仕事がしたい人
塗装をする際には、お客様と直接やり取りをするため、いろいろな意見、感想を聞き仕事をすることが必要です。大事なマイホームに関わることなので、時には厳しいことを言われることもありますが、感謝の言葉を頂けることもあります。
仕事をして誰かから感謝される仕事がしたい、人の役に立つ仕事をしたいと考えている方にとっては向いているでしょう。また、コミュニケーション重視の仕事でもあるので、複数名の作業が好きな人も向いています。
セラミック塗装の給与
セラミック塗装の平均給与は一般的な塗装工の平均年収を参考にみていきましょう。厚労省の職業情報提供サイトでは、塗装工の最終学歴の半数以上が高卒で、平均年収が408.6万円となっています。また、ハローワークの求人統計データでも全国の平均月給は25万円と一般的なサラリーマンの平均給与と同等の水準といえます。
ただ、塗装工は親方として独立し、フランチャイズとして活躍することも可能です。手に職を付けた人ほど独立しやすいですから、将来的に自分で起業してみたいという意欲のある人にもおすすめです。
※参考:厚労省 職業情報紹介サイト
セラミック塗装会社に転職する際の注意点
セラミック塗装の転職を考えている人にとって、主に注意するべき点は2つあります。給与体系と担当する仕事についてです。
給与体系が月給・日給の確認
厚労省の職業紹介サイトによると、塗装工の給与体系は日給月給制の割合が多いとなっています。日給月給制とは、月給制で決められた給与から、休みや遅刻・早退の分を差し引いて支給することを指します。
この休みというのがネックになり、雨や雪などで屋外の作業ができない場合、塗装工に限らず建築業界の多くは休日となりがちです。日給月給制は休みの日を差し引くので、天候によって仕事のない日が続けば給料はどんどん減っていきます。
そのため、給与体系については日給制、月給制、もしくは日給月給制なのかをきちんと確認する必要があるでしょう。
担当する仕事の範囲が広い
担当する仕事内容は会社によってバラバラです。就職する会社の規模によっては、現場作業をしながら合間に事務作業をすることも珍しくありません。特に塗装工の仕事は中小企業や零細企業が多いので、営業と事務作業を兼務することも考えられます。前職で事務や営業を経験しているといいですが、慣れない内から塗装の工程を覚えるだけでも大変なので、できるだけ1つの作業に専念できる環境をもらえるかどうか確認しておきましょう。
セラミック塗装についてのまとめ
セラミック塗装は遮熱・断熱がありデザイン性にも優れた特徴があります。セラミック塗装の仕事は主に「現場作業」「提案、営業」「事務作業」があり、事業所の規模によっては兼任することもあります。
屋外作業で体力や忍耐力の必要な仕事といえますが、「自分が関わった仕事が目に見える形で残る」「直接感謝してもらえる」といったやりがいを感じられる仕事です。
ただ、給与体系が日給月給制なのか調べておく必要もあり、担当する仕事の範囲が広くないか事前に確認するようにしておきましょう。
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