ウレタン塗料を使った塗装の特徴やメリット、デメリット、費用面を解説

建築業界への転職を検討している人にとって、塗料の知識に不安を感じている人も少なくありません。たとえば外壁塗装にも使われるウレタン塗料だと、塗料の主成分としてポリウレタンの樹脂を含ませています。

建築業界や塗装業界への転職を考えている方だと、ウレタン塗料の一般的な知識は必須ですが、どのような特徴があるのか分からないこともあるでしょう。そこで、ウレタン塗料の特徴やメリットなど、塗装業界への転職が未経験の方へ参考となる内容を解説していきます。

ウレタン塗料の特徴とは

ウレタン塗料は主成分でもあるポリウレタン樹脂の特徴として、2つの特徴があります。1つ目は弾性の性質を持っているので、ウレタン塗料は伸縮性に優れています。2つ目は、光沢感や艶感といった見た目が良いところも好まれる理由です。

また、他の塗料に比べ費用面もリーズナブルで万人受けする塗料として愛されており、ウレタン塗料は幅広く使用されている塗料です。特に伸縮性の高さや光沢による高級感、コスト面から戸建住宅やビル等の外壁塗装の塗料として、ウレタン塗料は幅広く使用されています。

さらに外壁だけでなく、木材や塩化ビニール製品などの補修材料としても重宝されています。ウレタン塗料の人体への影響については、含まれる成分として、NMP(N‐メチル‐ピロリドン)がありますが、環境への影響は殆どないとされています。

このNMPは、目や皮膚、呼吸器に刺激を与える可能性もあり、妊婦がこのNMPに触れると皮膚から吸収された毒性成分が胎児に影響を及ぼす為、取り扱いに十分注意が必要です。

ウレタン塗料のメリット

ウレタン塗料は、昔からよく使われる塗料の一つです。上記に挙げた特徴から住宅やマンションの外壁や屋根などの住居に幅広く使用される汎用性の高い塗料といえます。外壁塗装を扱っている業者、職人であれば、殆どの人が扱ったことのある塗料なので技量に左右されにくいメリットがあります。

戸建住宅などの細かな振動が多い住居は、その振動から塗装にひび割れが発生してしまいます。ひび割れ部分から雨や汚れが入り込む事で劣化が進行してしまいますが、ウレタン塗料は高い伸縮性がある為、ひび割れも起きにくいです。

また色のバリエーションも豊富で、時代の変化に伴う流行の色も取り揃えていますので、塗装後の仕上がりの綺麗さも相まって住宅の外壁、屋根塗装に人気の高い塗料です。

ウレタン塗料のデメリット

ウレタン塗料のデメリットとしては、耐久性については難があります。外壁や屋根の塗装など幅広く使用されるので、紫外線にさらされる時間が長くなりがちです。この紫外線の影響でウレタン塗料の劣化速度が促進され、耐久度が落ちてしまいます。

また、汚れが付着しやすい欠点もあるため、塗装から年数が経ってくると最初の光沢感が失われていきます。そのため、外壁塗装の場合には約10年に一度は塗り替えが必要となるでしょう。ただ、最近では汚れにくいタイプのウレタン塗料もあるので、今までのデメリットは解消されつつあります。

さらに、ウレタン塗料は1液と2液がありますが、共にシンナーで希釈して使用しなければなりません。シンナーを使用するがゆえに、独特の刺激臭があります。使用するウレタン塗料や量、塗装方法により、使用するシンナーの量も変わりますが、臭いはどうしても鼻につきます。臭いに敏感な人には少し扱いにくいかもしれません。

ウレタン塗料以外に代表的な塗料としては、シリコン塗料等があります。シリコン塗料はウレタン塗料に比べ、耐久性が優れている特徴を持っていますが、塗料の価格として見るとウレタン塗料の方がリーズナブルです。

代表的なウレタン塗料

ウレタン塗料で代表的な種類としては、次の2種類があげられます。

・ポリウレタン樹脂塗料

ポリウレタン樹脂塗料は、ポリオールとポリイソシアネートが配合されている塗料です。ポリオールとは、多価アルコールのことで脂肪族化合物です。ポリイソシアネートは、塗料や硬化剤として使用される有機化合物の一種です。

・アクリルウレタン樹脂塗料

アクリルウレタン樹脂塗料は、ポリウレタン樹脂塗料にも配合されているポリイソシアネートとアクリルポリオールが配合された塗料となります。近年では、ポリウレタン樹脂塗料よりも、アクリルウレタン樹脂塗料が市場によく出回っており、幅広く使用されています。

またウレタン塗料には、油性ウレタンと水性ウレタンがあります。油性ウレタンは石油系の溶剤を使用した塗料で、水性ウレタンに比べ耐久性が高くなります。外壁などに塗装をした場合、塗膜の密着力が高くなり、この面でも水性ウレタンよりも良いとされています。

反対に水性ウレタンは、水で油性ウレタンを希釈して使用するので、油性ウレタンよりも刺激臭が緩和されるメリットがあります。外壁や屋根に対しては油性ウレタン塗料を使用し、室内や密閉されているところについては、水性ウレタン塗料を使用するなど、用途によって使い分けされるのが一般的です。

ウレタン塗料の費用

塗装を行うにあたって、気になる費用面はどうなのでしょうか。塗装でよく使用されるウレタン塗料、アクリル塗料、シリコン塗料で耐久年数と平米単価で比較をしてみましょう。

耐久年数平米単価
ウレタン塗料5年から10年約2,000円
アクリル塗料7年から15年約2,650円
シリコン塗料3年から8年約1,400円

こちらを参考にして、外壁塗装をそれぞれ100平米塗装し、耐久年数は最長年数で1年あたりの費用対効果を計算してみましょう。

  • ウレタン塗料の1年あたり20,000円(平米単価2,000円×100平米÷10年)
  • アクリル塗料の1年あたり17,667円(平米単価2,650円×100平米÷15年)
  • シリコン塗料の1年あたり17,500円(平米単価1,400円×100平米÷8年)

以上の様に代表的な3種類の塗料を並べると、ウレタン塗料の方がコスト面で圧迫しているように見えます。ただ、耐久年数はあるもののウレタン塗料は使用用途が幅広いメリットと比較的安価なことから、雨樋など部分的な塗装を行う場合などコストを抑える対策として用いることもできます。

建築(塗装)業界の特徴とは

建築業界の転職は大きく分けて、営業職、現場監督及び職人、事務職があります。営業職と事務職は建築業界以外でも一般的に知られている職種でもあります。営業職は、例えば一般のお客様の戸建住宅などに営業を行う場合、BtoCの営業となります。

また事務職もお客様からの問い合わせや材料、工法など専門的な知識が身につきます。そして、現場監督や施工を担当する職人は、材料や工法などの知識だけでなく、技術面も必要となります。比較的ウレタン塗料は、扱いやすい塗料ですので、職人としては経験が浅くても技術にさほど差が出にくい特徴もあります。

建築(塗装)業界への転職メリット

建築業界への転職のメリットとしては、特徴でもある専門的な知識が経験と共に身につけられるので、未経験で転職したとしても年数が経てば経つほど、自分自身の財産として身に着けていけます。

また営業職に関しては、幅広いお客様と日々、提案、ヒアリングを行うことで、BtoBの営業よりも提案力やコミュニケーション能力が身につけられます。

あとは将来的に独立したい人にもおすすめです。建築物がある限り塗装工の仕事はなくなりませんから、需要に困ることも少ないのが特徴的です。

建築(塗装)業界への転職デメリット

転職のデメリットとして営業職の場合は、1回塗装をすると数年もしくは十数年は塗装をしない為、既存顧客やルート営業というよりも新規開拓営業がメインとなります。ノルマなどある場合は、毎月、新規顧客を探さないといけない為、毎月気持ちをリセットする必要があります。

また、現場監督や職人については、外回りの施工の場合、雨天など天候に左右される為、休みが不定期のこともありますし、日給制であれば、月給が減少する場合もあります。雨天時は休日になりますが、湿度の高い場合も作業中止となるケースがあるので注意が必要です。

事務職については建築業界である為、落ち着いた静かな環境というよりは、体育会系の雰囲気の企業も多いです。

ウレタン塗料を仕事で扱うのに向いている人

ウレタン塗料を仕事で扱うのに向いている人の特徴をみていきましょう。屋外の作業がメインとなるのでやはり体力に自信のある人となります。また、細かい作業も多いので手先が器用で慎重さを持って臨める人も向いています。

塗料の臭いというのは慣れもありますが、どうしても苦手な場合もあります。塗料系の臭いが問題ない人も塗装工は向いているでしょう。特に子どものころにプラモデルを組み立てて塗装もしていた人にはウレタン塗料の扱いも大丈夫といえます。

未経験からの転職も可能

建築業界・塗装工への転職を考えている方の場合、現場の作業から入りたくても不安な人は多くみられます。職人さんの世界という認識なので、いきなり未経験から仕事ができるかと思われるでしょうが、実際に未経験からスタートする人がほとんどです。

建築業界の営業職や事務職からスキルアップして転職する人も歓迎されますし、そのまま営業での転職も可能です。その場合はコミュニケーション能力や提案力のスキルアップを目指したいといった、気持ち的にもポジティブな方が向いています。

また現場監督や職人については、未経験であってもウレタン塗料であれば、扱いも簡単で塗装の技術を身につけていきたい方や手に職を身につけたいならオススメです。事務職希望の方に関しては、スピード感や事務処理能力を伸ばしたい方にもオススメで、材料の種類自体はそこまで多くないので数年で一通りの業務がこなせるようになるでしょう。

まとめ

ウレタン塗料は弾性の性質で伸縮性に優れて光沢感や艶感を感じさせるのが特徴です。主に外壁塗装に使われ、一般の住居にも幅広く使用されています。比較的扱いが難しいものではありませんので、塗装が素人の方にも安心して取り組めるといえます。

天候の面などで不定期な仕事になることもありますが、ウレタン塗料を扱っている企業も多い為、未経験でも興味があればまずはチャレンジしてみてはいかがでしょうか。

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