塗料の薄め方は?塗料の基本的な知識、塗装工に必要なスキルなどを解説

建設業界への転職を検討している人にとって、塗装工の仕事に興味を持っている人は多いでしょう。ただ、「現場作業がきつそう」「怖い先輩がいそうで、人間関係が大変」との印象を持つ人が多いかもしれません。

そこで、この記事では塗装工の基本的な知識である塗料の種類、薄め方や必要なスキルについて紹介します。

塗料の種類

塗料には水性と油性の2種類があります。この2種類の違いは使用するときに薄める溶剤が有機溶剤(油性)か水かの違いです。

塗料は顔料(着色料)、合成樹脂、添加物などの固形物でできており、そのままでは上手く塗れません。

そこで、油性塗料はシンナーなどの有機溶剤(ペイント薄め液)で薄め、水性塗料は清水(水道水)で薄めて使用します。

油性塗料の特徴

油性塗料は、主に外壁や屋根などの外装で使われています。発色や耐久性に優れ、ペンキといえば、油性塗料を思い浮かべる人も多いでしょう。油性塗料は、用途が広く、どんな色でも、どんな場所でも塗装できるのが特徴です。

また、仕上がり具合の美しさにも定評があり、ハケ跡が残らないのも特徴的といえるでしょう。油性塗料は水性塗料よりもきれいに仕上がります。

油性塗料のメリット

油性塗料のメリットは、優れた耐久性と色がなじみにくい金属などでも塗装できる点です。油性塗料に含まれる有機溶剤の効果で、色落ちがしにくいため、耐久性に優れています。

また、金属などの色が定着しにくい素材でも塗装できるため、使える場所が幅広いのもメリットです。

油性塗料のデメリット

油性塗料のデメリットは、有機溶剤の臭いと取り扱いに注意が必要な点です。有機溶剤のシンナーは身体に有害なため、その刺激臭は敬遠されます。使用にあたっては、近隣への配慮が必要でしょう。

さらに、有機溶剤は引火しやすいため、火気の取り扱いや保管には十分気をつける必要があります。

水性塗料の特徴

水性塗料は、主に内装などで使用されています。取り扱いが楽なため、プロだけでなく、一般の方が行うDIYでも広く使われています。水性塗料は、油性塗料に比べ、耐久性が劣るとされていましたが、近年開発が進み、油性塗料と同じような耐久性を持つものもあります。

水性塗料のメリット

臭いが少ないのと引火の危険が少ないため、取り扱いがしやすい点です。人が家に住みながら行うリフォーム工事がやりやすいのがメリットです。油性塗料の臭いが苦手な方にもおすすめで、ペンキ初心者のかたにも扱いやすいといえるでしょう。

また、使用したハケなどの道具に対しても水洗いが可能ですので、後片付けが楽なのも水性塗料ならではのメリットです。

水性塗料のデメリット

水性塗料のデメリットは、水分を含んでいるため、天候によっては乾燥時間が長くなる点です。また、金属など色が定着しにくい素材には使えないため、場所によっては使えないところもあります。

塗料の一般的な費用

塗料の価格は5,000円~150,000円(1缶あたり)です。価格の違いは含まれる合成樹脂の違いです。アクリル<ウレタン<シリコンの順に高くなり、耐久性も高くなります。

建物の形状や状態により変わりますが、一般的な一戸建て(30坪換算)の外壁塗装での使用目安は、つるつるした壁で5~10缶、凹凸のあるざらざらした壁では14缶~25缶程度です。

塗料の薄め方と注意点

水性塗料によっては薄めず、そのまま使用できるものもありますが、多くは薄めて使います。まず、使用する塗料に対して、薄める(希釈する)溶剤の量を計算して下さい。希釈量や使用する溶剤は缶の側面などに記載されています。

そして、計算した希釈量の最低量を塗料に混ぜ、かくはん棒でよく混ぜて、適切な粘度に調整します。記載されている希釈量に幅があるのは、塗料は気温などにより、状態が変化し、希釈量が変わるからです。状態を見ながら希釈量を調整しましょう。

注意点としては塗料をいかに適切な状態にするかです。塗料は粘度が高すぎると、塗りづらく、作業に時間がかかってしまいます。粘度が低すぎると、塗料が密着しにくくなり、耐久性が低くなります。塗料は適切に使わないと、その効果が正しく発揮されません。塗装工にとって、塗料を適切に使えるかは重要な技能の一つといえます。

また、スプレーガンを使用する場合は試し吹きをするのを忘れないでください。塗料で美しく仕上げるポイントは何度も塗ることになります。そのためにも塗料を上手に薄めておかなくてはムラができてしまうので注意しておきましょう。

塗装工へ転職するポイント

塗装工は、建設業界の中でも仕事のイメージがしやすく、未経験者でも始めやすいとされます。職場環境や人間関係などは面接時に質問し、もし可能であれば、施工現場を見学して、働く環境を見てみましょう。

ただ、未経験だと実際に仕事としてやっていけるか不安になる人も多いものです。自宅でDIYを楽しむ人であっても、それを仕事として携わるとなればスキル的に大丈夫なのかと感じてしまいます。

そこで、転職するにあたって、向いている人や必要なスキルなどをまとめましたので、みてみましょう。

※参考:建設産業人材確保・育成推進協議会

建設業で働くための18歳のハローワーク

https://genba-go.jp/18hellow/modelplan/painter/03.php

向いている人

塗装工での仕事となれば、作業は屋内外に関わらず、高い場所でも作業しなければなりません。得手不得手が分かれることもあるので、どのような人に塗装工が向いているのが見ていきましょう。

体力に自信がある人

屋外での現場作業をメインとしている場合、夏の暑いときや冬の寒いときも仕事があります。塗装場所によっては、中腰での作業や高いところまで腕を伸ばしての作業があり、体に負担がかかる場合があります。

厳しい屋外の環境下で作業できる体力と体のメンテナンスは必須です。体力に自信がある人は塗装工に向いているといえます。

手先が器用な人

塗装には細かい所の作業がつきもので、きれいに仕上げられる手先の器用さが求められます。クライアントの要求が細かい場合もありますし、カーブや鋭角な形、小さい隙間などといったポイントは手先の器用さに合わせて美的センスも持ち合わせているとベストです。

集中力があってミスが少ない人

塗装は建物の耐久性に影響があり、作業にミスがあれば建物に損害を与えるかもしれません。仕事は完璧に仕上げるのが前提です。集中力が続かずに小さなミスを繰り返すような人には向かないといえます。

また、足場を組んでの高所作業や体に有害な有機溶剤を扱うため、作業の安全にも細かな配慮が必要です。大雑把な性格だとわずかなミスから安全面が脅かされることもあるので、塗装工には集中力がある人が向いています。

塗装工のやりがい

塗装工のやりがいは自分の仕事の成果が目に見えて分かるのと、お客様から感謝される機会があることです。特に外装は人の目に触れやすく、自分でもきれいになった完成品が見られますので、達成感が得やすいでしょう。

大多数の人が利用する施設や会場の塗装を担当する場合、多くの人の目に留まります。それだけに集まった人々を感動させる瞬間に立ち会えるのも魅力です。

また、リフォーム工事ではお客様と接触する機会が多く、お客様から直接「きれいにしてくれて、ありがとう」などと感謝の言葉が頂けるかもしれません。お客様からしてもマイホームがきれいになるのはうれしくて、声をかけたくなります。塗装は同一の場所で頻繁に行うものではありませんので、一度利用したお客様とはリピーターになりにくいものです。

それだけに直接感謝の言葉が聞けることは貴重であり、大きなやりがいを生んでくれます。なかなか直接的に作業に関して声をかけてくれる仕事はあまり多くありませんので、この仕事ならではのやりがいを感じる人は多いものです。

未経験歓迎が多い

塗装工は学歴や技能が求められない求人もあり、塗装工は未経験からでも始めやすい仕事とされます。塗装工は、技能職ではありますが、未経験者については、仕事として続けられる素質や適性があればよく、技能は働きながら身につけてもらえばよいと考える会社が多いようです。

おすすめの資格

塗装工におすすめの資格は塗装技能士です。厚生労働省が認定する国家資格で、3級~1級まであります。1級と2級は受験資格に一定の実務経験が必要となります。

塗装に関する技能の証明になりますので、積極的に取得しましょう。また、有機溶剤主任資格者、乙種危険物取扱者などの資格も取得しするのも転職後のスキルアップに大きなプラスといえます。

まとめ

ここまで、塗料の種類、薄め方、塗装工の仕事内容などをみてきました。まずは、塗料や建築についての基本的な知識や技能を身につけていきましょう。塗装工は技能が必要な現場仕事ですので、AI(人工知能)ではそう簡単には代替できず、今後も手堅い需要があるでしょう。

技能や資格を身につければ、仕事の幅が広がりますし、独立への道も開かれます。塗装工の仕事に興味がある人は求人を調べてみてはいかがでしょうか。

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