建築業界への転職を考えていて、その中でも塗装業に興味がある方も多いでしょう。塗装に使われる塗料には沢山種類がありますが、よく耳にするものの1つにアクリル塗料があります。
転職すると1つ1つの施工により合った塗料を選べるようになる必要がありますし、アクリル塗料についてお客様に説明しする機会もあるでしょう。ここではアクリル塗料について特徴やメリット・デメリット、さらに費用などの知っておきたい情報をまとめながら、建築業界における塗装業の平均的な給与などについても紹介していきます
アクリル塗料の特徴を知ろう
アクリル塗料はアクリル樹脂が主成分の塗料で、水性と油性の両方があります。外壁に使われる塗料の中でアクリル塗料の特徴を簡潔にいうと、『安いが耐久性はあまりない』になります。
原料にアクリル樹脂が使われていて、一昔前は外壁塗装などに非常によく使われていましたが、ウレタン塗料やシリコン塗料など耐久性がある塗料の登場とともに使われる頻度が減ってきています。
転職後にお客様から工費をできるだけ抑えたいとの理由で、アクリル塗料での外壁リフォームを希望されることがあるかもしれません。その場合は耐久性の問題で塗り替え頻度が多くなることから結局費用面でもおすすめできないことを、あらかじめ説明するようにしてください。ただ内装の塗装にはまだまだ出番も多いです。
アクリル塗料にはピュアアクリル塗料やアクリルシリコン塗料等、名前が似ている塗料もあります。ピュアアクリル塗料は不純物を取り除くことで高い耐久性と防水性を実現した塗料で、外壁塗装でも人気が高いです。アクリルシリコン塗料はアクリル塗料とは全く違うシリコン塗料の仲間で、防汚性はもちろん防汚性も備えています。両方ともアクリル塗料とは特徴も費用も全く変わるので、混同しないように気を付けるようにしましょう。
アクリル塗料の主要商品
信頼性の高さから塗装に使うと量は大手メーカーの塗料が使われることが多いです。大手塗料メーカーが発売している主要なアクリル塗料の商品はこちらです。(あくまでも一例です)
・日本ペイント「ケンエースグロス」
内装や外壁の塗装に使用し、反応硬化形で優れた付着性を持ち、ヤニ止めや坊藻・坊カビにも効果を発揮します。
・関西ペイント 「アレスアクアグロス」
水性反応硬化アクリル樹脂を使用し、光沢ある仕上がりに加えて耐水性や耐久性にも優れています。
・エスケー化研 「水性コンポアクリル」
油膜表面が緻密なのでチリや埃、カビ、藻などを寄せ付けず、美しくて清潔感のある外観を維持します。
アクリル塗料のメリット
建築業界に転職するならアクリル塗料のメリットやデメリットを知ったうえで、施工に使うかどうか判断する必要があります。アクリル塗料を使うメリットで最初に思い浮かぶのは値段です。ただ、アクリル塗料には色の選択やDIYにも優れたメリットを持っています。
コストを抑えられる
アクリル塗料は外壁などに使われる他の塗料と比べて安く、シリコン塗料の半分以下の値段で利用できます。その分だけ耐久年数もシリコン塗料の半分程度になるため、安いからといって必ずしも外壁の塗装ではコストパフォーマンスに優れている訳ではありません。転職後に担当するお客様には、値段とともに耐久性についても説明が必要となります。
ただ、頻繁に塗り替えをする予定の場所や内装など耐久性があまり問われない場所に使うと、効果的に費用を抑えることができます。また材料が伸縮する新築の現場ではどんな塗料を使ってもひびなどができやすいため、あえてアクリル塗料を使うケースもあります。
色の選択肢が多く発色がいい
近年では他の塗料も人気となっていますが、アクリル塗料はこれまで長年使われ続けてきた実績もあることから、さまざまな色を選択することが可能です。また発色がよくつやのあるきれいな仕上がりが期待でき、変色しにくいのも特徴といえます。
内装や外壁の塗り替えを楽しむ人や施設にはおすすめの塗料といえるでしょう。
DIYでも使いやすい
塗料には1液型と2液型があり、1型液は塗料缶の蓋を開けたらそのまま使えますが、2液型を使う前には塗料と硬化剤の2種類の液を混ぜ合わせることが必要です。アクリル塗料には1型液も2型液もありますが、1型液の商品が多くみられます。
1型液だと保管が楽で、塗り直しや重ね塗りにも向いています。絵の具のように色と色を混ぜ合わせて好きな色味を作り、手についても乾く前ならお湯で洗い流せるので、建築業界だけでなくご家庭のDIYでもよく使われます。
アクリル塗料のデメリット
アクリル塗料は外壁に使う場合はデメリットも目立ちます。塗料関係で転職を考えているならデメリットも抑えておいてください。
紫外線に弱く耐久年数が短い
アクリル塗料は紫外線に弱く塗料の中では一番耐久年数が短いため、他の塗料を使った場合よりも頻繁に塗り替えが必要になります。また汚れやすいため、きれいな外観を保つには定期的な掃除をしなければなりません。
現在は弾性のアクリル塗料ができているので改善はされているものの、比較的ひび割れもしやすく、剥がれや膨れの原因になることもあるでしょう。ひびや剥がれは見た目が悪くなるだけでなく、塗り替えの際の手間も増えるので注意が必要です。
湿気を通し過ぎる
アクリル塗料には湿気を通しやすいという性質があり、海沿いや梅雨の時期など湿気の多い環境下では室内に湿気を取り込んでしまいます。室内の湿度が高いとカビやダニが発生しやすくなってしまうので、湿気が多い環境下では特に他の塗料を提案するようにしましょう。
ただ室内の湿気を外に逃がす効果もあるため、軒天井など湿気がこもる場所にはあえて使われることがあります。
外壁用はあるが屋根用はない
アクリル塗料は耐久性に難があるため、大手塗料メーカーは屋根用のアクリル塗料を販売していません。足場設置の費用などを考えると壁と屋根を同時に塗りかえる方が費用を抑えられますが、外壁にアクリル塗料を選んだ場合、屋根との塗り替え時期がずれてしまいます。
アクリル塗料のおおよその費用と耐久年数
ここまでアクリル塗料は値段が安いが耐久性はいまいちと何度も触れてきましたが、ここで具体的な費用や耐久年数の目安を紹介しておきます。
アクリル塗料の費用
アクリル塗料のおおよその費用を他の塗料と比べながら見ていきましょう。
塗料 | アクリル塗料 | ウレタン塗料 | シリコン塗料 | フッ素塗料 |
1㎡あたりの単価 | 1,000円から1,800円 | 1,700円から2,300円 | 2,300円から3,400円 | 3,500円から4,700円 |
このように実際の相場を比べてみるとアクリル塗料の安さがより際立ちます。平均的な30坪程度の住宅の外壁にアクリル塗料を使用する場合、50万円から60万円くらいになります。
アクリル塗料の耐久性
アクリル塗料の耐久性も他の塗料と比べながら確認しましょう。
塗料 | アクリル塗料 | ウレタン塗料 | シリコン塗料 | フッ素塗料 |
耐久年数 | 4年から7年 | 6年から10年 | 10年から15年 | 15年から20年 |
一般的に10年に1度は外壁を塗り替えるようにと言われていますが、アクリル塗料だと10年持ちません。5年前後を目安に塗り替えるとなると面倒ですし、寿命の長い塗料を使った場合と比べてトータルのコストも上がってしまします。
塗料の耐久性は費用と比例して上がっていきます。耐久性と値段のバランスを見てコストパフォーマンスが高いシリコン塗料が最近の外壁塗装の主流になってきています。
アクリル塗料を扱う塗装業の給与や勤務体制
建築業界の中でアクリル塗料を扱う機会が多いのは塗装業です。転職を考えているならやはり給与や勤務体制も気になるところなので次に紹介していきます。
平均年収は400万円
厚生労働省の職業情報提供サイトによると、建築塗装工の平均年収は460万円前後になります。(記事執筆時の情報)
平均年収 | 463.2万円 |
求人の月収 | 25万円 |
平均年齢 | 41.5歳 |
もちろん、経験年数や企業の規模によって変わります。
建築塗装工は現場でブラシやスプレーなどを使い塗装を行い、正社員でも月収だけではなく日給が記載されている求人も多いです。日給の場合は稼働した日数だけ給与が発生します。
基本的に未経験歓迎
ただ転職時に経験や技術を求められることは少なく、就職してから技術を身につけていくことが多くなります。転職当初はキャリアを積んでいる先輩社員を手伝いながら、現場のノウハウを学びます。高卒や高卒以下で建築塗装工になる人がほとんどで、未経験歓迎の門戸が広い仕事といえるでしょう。
求人の勤務形態を見ると8時から17時勤務が平均的です。週休二日制や完全週休二日制の会社も多くなっていますが、そうでなくても日曜と祝日は基本的に休みとなっている場合がほとんどです。ただ残業や工期によっては休日出勤も考えられるでしょう。
国家資格や現場監督でキャリアアップも可能
塗装技能士という国家試験もあり、実務経験2年で2級、7年で1級の受験資格が得られます。長く務めて技術や経験を積んでいくと現場監督(管理技術者)へとキャリアアップも可能で、そうすると年収アップも望めるでしょう。
まとめ
アクリル塗料は安くて扱いやすく、発色もいいのでメリットはありますが、耐久性が低いため外壁塗装に使われる機会は年々減少傾向にあります。建築業界に転職を考えている方は、外壁の塗装に使うにはデメリットの方が多く、最近では内装を中心に使われている塗料と覚えておいてください。
また転職後の人生設計において、おおよその給与体系や働き方を確認するのは大切です。ぜひここで紹介した平均給与や勤務体系を参考にし、国家資格を経てキャリアアップにつなげていきましょう。
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